ウッドストックの森からふるさとのあなたへ:うさぎ追いし備前の山、小ぶな釣りし笹ヶ瀬川

 米ニューヨーク州ウッドストックの森に暮らす岡山県出身の作家・小手鞠(こでまり)るいさんが、ふるさとの読者に向けてつづるコラム。今回は岡山の春に思いをはせながら、子ども時代の思い出を寄せてくれました。

うさぎ追いし備前の山、小ぶな釣りし笹ヶ瀬川

マンハッタンのセントラル・パークの桜。春の訪れが遅いニューヨークでは、水仙と桜が同時に咲きます。アメリカにはお花見の宴会の習慣がないので、静かに、心ゆくまで、可憐(かれん)な花たちを観賞できます。花の中の小鳥の巣にご注目を

 

今年の4月、入学式を迎えたみなさん、おめでとうございます。

 私も約60年前(1962年)の4月に、備前市・伊部小学校に入学しました。子ども時代のアルバムの中に、ランドセルを背負い、満開の桜の木の下で笑っている写真が残っています。当時、暮らしていた公団住宅の庭には、桜の木が植えられていました。家の周辺には、田んぼや畑が広がっていて、私は学校から戻ってくると、田んぼの土手を走り回ったり、山へ駆け登ったりして遊んでいたものです。まさに野山が私の遊び場。大人になった今も、ウッドストックの森の中で、野山に囲まれて暮らしています。

 6年後、備前一宮へ引っ越して、中山中学校に入学しました。吉備津彦神社のほど近くにある家から、笹ヶ瀬川の土手を歩いて、学校へ通っていました。文芸クラブに入っていて、本を読んだり、作文を書いたりするのが好きな少女でした。

 クラブの顧問の先生に作文を褒められたのが「小説家になりたい」と、夢見るようになるきっかけです。つまり、中学の国語の先生が人生の恩師。大人になった今も毎日、先生に読んで褒めてもらいたくて、作文(小説や童話)を書いているような気がします。コラムの連載を始めた頃、岡山市北区のあや子さん(71歳)から、こんなおたよりをいただきました。

 【備前市生まれの私。伊部小なつかしい。現在、吉備津彦神社がお散歩コースの所に住んでいて、るいさんにすごく親近感を感じます。『エンキョリレンアイ』『アップルソング』読みました。透明な文体が好きです。せつない感じのストーリーも。今後とも応援しています。岡山の空から、備前の地から】

 ふるさとから届いた応援、とてもうれしかった! ちなみに『アップルソング』の主人公は岡山生まれの女の子です。

 いくつになっても、生まれ故郷を思うとき、人の心は子どもに返っているのではないでしょうか。私の内面には今も、備前の田んぼや野山を走り回る少女、動物や植物が大好きで、得意な科目は国語だけで、得意なのは作文だけで、ひとりでいるときには、岡山弁で考え事をしている女の子が住んでいます。童話を書くときには、この「岡山生まれ育ちの女の子」がストーリーを考え、登場人物を生み出してくれているようです。岡山が私に与えてくれたものは、私の書くすべての作品の原点になっているのだと思っています。

小手鞠さんから、抽選で3人にプレゼント 最新刊『うさぎタウンのおむすびやさん』

 『うさぎのマリーのフルーツパーラー』『うさぎのモニカのケーキ屋さん』に続く、うさぎのお店屋さんシリーズ第3弾。おむすび屋さんを営んでいるうさぎのななこさんと、うさぎの子どもたち、紙芝居屋のパンダのゆうゆうさんたちが繰り広げる、楽しくて優しい物語。松倉香子さんの絵もすてきな一冊です。

◀『うさぎタウンのおむすびやさん』(講談社、1430円)

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