コーヒーからモノの値段を考える

 スペシャルティコーヒー専門店店主・藤原京華さんと一緒に、コーヒーからつながる「幸せ」について考えてみませんか。今回は、コーヒー豆の価格から見えてくる、モノの適正な値段について考えます。
イラスト・藤原京華さん

コーヒーからモノの値段を考える

 コーヒーの値上がりが止まりません。今年は、最大の生産国ブラジルの霜害、世界的にも天候不順で収穫量が上がらず、コロナ禍の経済回復の期待によりコーヒー相場が急騰、10年ぶりの高値で、年初に比べ、倍になっています。海外輸送のコンテナ不足の上に原油高も影響し、コストも高騰。大手は20%の値上げを発表しています。 コーヒーだけでなく、小麦粉や食用油も高騰のため、多くの食品も値上げしています。皆さんも、食品だけでなく、あらゆる場面で物価高を感じているのではないでしょうか。

 一方、少しでも安く買いたい消費者の心理に鑑み、多くの企業は原材料やコストが上がるので、値上げしたいけれど「値上げできない」でいます。結果、利益が減るので、働く人の給料が上がらない…。実のところ賃金も、物価も、日本は先進諸国に比べて「安い」そうです。今、政府は賃上げを目指していますが、そのためには物の値段が上がらないとかなわない、というスパイラルです。

 コーヒー豆の価格で見ると、例えば100g500円のコーヒーだと、1杯あたり10g使用で50円。高品質なスペシャルティ100g1000円としても、1杯100円。一見高価でも、缶コーヒー代にもならず、原材料の質を比べると雲泥の差です。

吉備の国珈琲焙煎所のコーヒー豆は70種類。中でも、500g1500円等お徳用のデイリーなコーヒー豆は仕入れの値上がりが激しく(上写真)、スペシャルティコーヒーを超える程。「なるべく価格を抑えて提供したいと努力しています」と藤原さん

 私たちが毎日食べる「お米」の価格で見てみましょう。米100gでお茶わん1杯半くらいのごはんになります。お米の値段もさまざまですが、例えば1kg400円で1食100g程度として40円です。令和3年産の米の概算金(※)は、コシヒカリ1等米で60kg1万500円(1kg175円)。生産農家の収入を思うと、日本の農業は続くのか、農業したいと思う後継者が出るか、不安になります。

※価格参考:JA晴れの国おかやま「令和3年産 米概算金価格表」https://www.ja-hareoka.or.jp/

 値段が安いのにも理由があります。品質や原材料はどうか、企業努力もあると思いますが、低価格のためにどこかに無理がないか。とはいえ、「高い=良いもの」でもない。品質、健康安全、そして企業姿勢。自分の本当に求めているものは何か。その価値を見極めて「適正な価格」の「良い品」を選ぶ必要があるのではないでしょうか。


藤原 京華(けいか)さん
スペシャルティコーヒー専門店「吉備の国珈琲焙煎所」(岡山市北区表町1-7-15・1F)店主。中国コーヒー商工組合 事務局長。
http://kibinokuni.a-zone-t.net/

さりお 2021年12月24日号掲載

店舗名
吉備の国珈琲焙煎所
店舗住所
岡山市北区表町1-7-15・1F
電話番号
086-221-2077
報告する