コーヒーは生き物 おいしさの変化、個性を楽しもう 【最終回】

 スペシャルティコーヒー専門店店主・藤原京華さんが毎回役立つ豆知識とともに、コーヒーからつながる「幸せ」を紹介してくれたこの連載も今回が最終回です。
イラスト・藤原京華さん

コーヒーは生き物 おいしさの変化、個性を楽しもう

 コーヒーは果実の種(タネ)なので数年保存できますが、焙煎したら新鮮さが大切です。焙煎は火力で煎(い)ること。豆は爆発状態、パチパチとはぜる音がして倍以上に膨らみます。煎りたてがいいとはいえ、直後48時間はガスが放出され、豆の中は暴れています。味が不安定で、あっさり、あるいはとんがった感じがします。その後、徐々に落ち着き、日々熟成されて味わい深くまろやかになり、甘みが増えていきます。同時に酸化も進むので、豆のまま密封し冷蔵庫で保存するのがベスト。すると、ゆっくり熟成され、1~2カ月後もしみじみとおいしいコーヒーが楽しめます。煎りたては、フレッシュな香りと味わい、ハンドドリップでの膨らみはテンションも上がります。それぞれの良さがあるので、煎りたてから熟成される過程の味わいの変化を楽しむのがだいごみです。

 例えれば、人の10代のピチピチから、壮年、中年、熟年、高年への変化と同じかも。年を重ねるにつれ角(かど)がとれ、ほどよい苦味と甘みを増し、しみじみと味わい深い人になりたいものです。良いコーヒーは余韻が長く響きますが、すてきな人も心に残り、気持ちが温かくなりますよね。

 一方、焙煎の深さにより味わいは大きく変わります。最近は浅煎り好きの方も増え、豆本来のフルーティーな味わい、爽やかな酸味が楽しめます。深煎りは、苦味とともに甘みとコクが増します。同じ豆でも焙煎度それぞれにおいしいので、その違いをぜひ楽しんでいただきたいです。

 いろいろなコーヒーの種類、焙煎度、焙煎後の日数などの違いによる味わいを比べる、自分好みを探すことはとても楽しいものです。また、コスパ(お値段)との比較も、面白いですよ(笑)

 足掛け3年にわたり、「幸せになるコーヒー」と題し、コーヒーの楽しみ方や、生産国などコーヒーに携わる世界のみなさんが幸せになることを願いつづってまいりました。読者の方やお客さまに、温かい言葉をいただきながらいったん卒業です。ありがとうございました。激動と不安の時代ですが、これからもその一杯が、ひとときの幸せから 世界の幸せにつながりますように。

▲吉備の国珈琲焙煎所では、70種類以上のコーヒーと8段階の焙煎が選べるオーダー焙煎で、コーヒーの楽しみ方を提案。生豆から注文ごとに好みに合わせて焙煎しています

藤原 京華(けいか)さん
スペシャルティコーヒー専門店「吉備の国珈琲焙煎所」(岡山市北区表町1-7-15・1F)店主。中国コーヒー商工組合 事務局長。
http://kibinokuni.a-zone-t.net/

さりお 2022年3月18日号掲載

店舗名
吉備の国珈琲焙煎所
店舗住所
岡山市北区表町1-7-15・1F
電話番号
086-221-2077
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