いつか、どこかで、また会いましょう【最終回】

 米ニューヨーク州ウッドストックの森に暮らす岡山県出身の作家・小手鞠(こでまり)るいさん。岡山での思い出、動物たちに囲まれた森での暮らしなど、ふるさとの読者へ彩りの日々を紹介してくれた連載も今回で最終回です。

いつか、どこかで、また会いましょう

▲2月にテキサス州を旅行してきました。夫とふたりで山登り三昧。国立公園内の奇岩の山の頂上で記念撮影。影もラブラブカップルに見えるかな?

 2年間にわたり、楽しく書きつづってきたこの連載エッセイ、今月が最終回となりました。毎回、みなさんからいただいたおたよりの中から一通を選んで、お返事を書きましたが、取り上げられなかったお手紙も、私の一生の宝物として大切にします。みなさん、いつもあたたかい応援のメッセージをくださって、ありがとうございます。

 最終回には何を書こうかな? と思い悩むこともなく、私よりも深く岡山を愛しているかもしれない夫との出会いから、今日までのことを駆け足で書いて、有終の美を飾りたいと思います。

 37年前の2月、私がアルバイトをしていた京都の書店に、アメリカ人の夫は、お客として現れました。出会ったその日に電話番号を教えてくれたので、次の日に私から電話をかけて、週末に初デート。デートしたその日に「いっしょにインドへ行こう」と意気投合し、その年の秋から4カ月ほど、ふたりでインドを放浪しました。楽しかった! 若かったからこそできた、貧乏旅行です。

 インドから京都へは戻らず、身ふたつで上京。私はフリーライター、彼は雑誌の編集者になり、しっかりお金をためて、アメリカへ。私は36歳、彼は30歳。この渡米をきっかけにして、法律的な結婚をしました。プロポーズの言葉は「付いてきてくれ、とは言わない。きみの自由意志でアメリカへ来てくれるなら、うれしい」でした。購入した飛行機のチケットが「片道」だったことが、いまだに心に残っています。帰りの切符を持たないでアメリカへ飛んで行く、というのは、私の人生最大の冒険でした。

 岡山の両親は、彼のことが大好き。もしかしたら、娘の私よりも彼の方が好きなのではないかな、というほど。最初に彼を紹介したとき「子育てもしないで、こんなりっぱな息子が転がり込んできた」と、母はほくほく顔でした。夫は岡山が大好き。帰省して、私が仕事に励んでいるときには、ひとりで備前市の熊山に登ったり、電車で高梁市のお城を訪ねたり、私の知らない岡山をたくさん知っています。

 いつか、どこかで、私たちの姿を見つけたら、気軽に声をかけてくださいね。私の作品を読んでくださったあなたに、もしも会うことができたときには「また会えたね」が合言葉です。まず本の中で出会って、それから実際に再会するのですから。遠からず、そんな日がやってくることを楽しみにして、今年も作品を書き続けていきます。

小手鞠さんから、最終回の特別プレゼント
新刊『伝記 緒方貞子』、選集2タイトル、いずれか1冊を抽選で6人に

 最終回の特別プレゼントとして、新刊『ストーリーで楽しむ伝記 緒方貞子』、児童文学作家(小手鞠るいを含む)のアンソロジー『君色パレット』『女の子たちのぼうけん』(どちらも岩崎書店刊、小学校高学年から中学生向け)の3冊からいずれか1冊を合計6人の方にお贈りいたします。どの本が当たるかはお楽しみに!
◀『ストーリーで楽しむ伝記 緒方貞子』1650円

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ハガキ 〒700-0986
岡山市北区新屋敷町1-1-18・4階
山陽リビングメディア 「3月るいさん本プレゼント」係
FAX 086-243-1305
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3月28日(月)必着

さりお2022年3月18日号掲載

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