ウッドストックの森からふるさとのあなたへ:未来を生きる子どもたちへの手紙

 米ニューヨーク州ウッドストックの森に暮らす岡山県出身の作家・小手鞠(こでまり)るいさんが、ふるさとの読者に向けてつづるコラム。大人向けの小説、エッセイはもちろん、児童書でも多くの作品を発表している小手鞠さん。児童書に対する想いをつづってくれました。

未来を生きる子どもたちへの手紙

近所の村の散歩道。廃線跡を遊歩道に変えた道の脇に、等間隔で絵本の見開きが展示されていて、歩きながら一冊の絵本が読めるようになっています

 なぜ児童書を書くのですか?と、よく聞かれます。私たち夫婦には子どもはいません。出産も育児も未経験。そんな私がなぜ児童書を? 答えは「子どもが好きだから」。

 子どもがいないので、私はいつまでたっても、親にはなれない。つまり、私は今でも子どもです。表向きは大人のふりをしていますが、常に子どもの視点で世の中を見つめています。戦争、環境問題、コロナ問題を考えるときにも、なぜこんなことが起こるのだろうと、子どもの立場から考えています。私は世界中の子どもたちの仲間。私の書く児童書はすべて、親しい友だちに宛てて書いた手紙なのです。

 実は、初めて児童書の仕事の依頼をいただいたときには、子どものいない私には書く資格がないのではないかと思って、ご辞退しました。それに、児童書を書くのは難しそうって思っていたのです。その後、思い切って引き受けてみたら、なんと、魔法にかかったようにすらすら書けるではありませんか。しかも、とても楽しく! 

 ここで、「さりお」の編集者からの質問にお答えすることにしましょう。

【濃〜い恋愛物とお子さん向けの本を書くとき、どうやって感覚を切り替えているのでしょう?】

 回答は「切り替えていません」。まったく同じ感覚で書いています。すらすら書けるのは、切り替えないまま書いているから。児童書と恋愛小説は、私という同じ一本の木に生えている枝と枝。木は一本で、根っこも同じ。同じ人間、同じ子どもが書いている、というわけです。

 小学校5年生までは備前市の伊部小学校へ、6年生からは中山(ちゅうざん)小学校へ通っていた私は、小学校の帰りに、隣にあった保育園に弟を迎えに行って、ふたりで一緒に家に帰って、仕事から戻ってくる両親を待っていました。まぶたを閉じると、子ども時代のふたりが浮かんできます。私が迎えに行くと、ジャングルジムの上から「おねえちゃーん」と叫びながら、手をふっていた弟。かわいい姉弟を思い出しながら書いた作品が『おとうとのたからもの』です。幼かった弟も今は58歳のおじさん!

『おとうとのたからもの』を抽選で3人にプレゼント

 小手鞠さんの新刊児童書『おとうとのたからもの』(岩崎書店1100円+税)を抽選で3人にプレゼント。相手の気持ちに寄り添うことの大切さを気付かせてくれる、温かな物語です。プレゼントの応募はwebから。小手鞠さんへの質問を書いて応募を。お子さんからの質問も大歓迎。11/16(月)締め切り

応募はこちらから

さりお 2020年11月6日号掲載

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